2024年7月13日㈯、東海市立市民活動センターにて3Rお片付けセミナーを開催致しました。4年目となる今回のテーマは、「ゆずってリユース!初めてのフリマアプリ活用術~」と題して「捨てないお片付け」について取り上げました。

フリマアプリの基本を学び、「リユースを前提にしたモノ選び」「手放すタイミング」を知ることで、不用品をできるだけ資源として役立てる知識を身につけました。

【講師】RE-CREATE SYSTEM. (リクリエイトシステム)成田 宮子さん、古川 幸子さん

 片付けを通して空間を最適に整え、時間と利益を生み出す整理事業“リクリエイトシステム”を立ち上げ、個人宅・スモー ルオフィスの片付け及び生前整理に取り組んでいる。セミナー等による啓蒙活動でも活躍中。

3R前提のお片付け

私たちの生活は、環境に大きな負荷をかけながら営まれているのが現状です。住まいの片付け問題においても、3Rを前提に取り組むことが重要。「家中にモノがあふれている」「片付けたいのに片付けられない」お片付けに関して、こうした悩みを抱えている方は少なくありません。手に負えない状況になり、最終的にゴミとして処分してしまうことは、費用がかかるだけでなく、環境にも悪影響を及ぼします。それは次世代にゴミを押しつけているのと同じこと。モノとの正しい向き合い方を学び、日々の暮らしを見直す必要があります。

モノの手放しが進まない理由とは

モノを管理しきれず、ため込んでしまうのには様々な理由があります。

「購入したとき、高価だった」「いつか使えるはず」「処分するのがもったいない」「捨てられてしまうことに抵抗がある」

心にブロックがかかることで、モノを抱え込むことにこだわってしまい、結局、必要なモノでさえも活かしきれていない状況に陥ってしまいます。そもそも、お片付けとは、モノを捨てないとできないことなのでしょうか?

モノは資産?それとも負債?

「無理に捨てる必要はありません」と成田さんは言います。「モノは捉え方次第で、負債にも資産(財産)にもなるのです。」

「資産」とは、お金の価値があるもののことを意味します。今、抱えているモノがお金としての価値を生み出すかどうかの判断基準は「期限」です。「モノとしての価値がある期間」を逃してしまうと、「負債」になってしまう可能性も高くなります。

手放すタイミングを見極め、モノを循環させる

自分にとって使う頻度が少ないなと感じたら、モノとしての価値があるうちに、次の担い手にゆずることを検討してみましょう。譲り先や手放し方にも様々な方法があります。どの方法を選択するとしても、相手が気持ち良く使える状態を維持する配慮が必要です。

また、大切にしていたものを次に使う方が喜んで引き継いでくれることは、譲る側にとっても嬉しいもの。リユースは相手の顔が見えやすい、安心してモノを手放せる最良の方法と言えるでしょう。

フリマアプリ活用術

ここからは古川さんにバトンタッチ。フリマアプリについて、初心者の方にも分かりやすく説明して頂きました。まずはフリマアプリを始めた経緯や、現在に至るまでの経験談から。どんなものが売買されているのかリサーチしたところ、「自分にとって不要だと思うモノに対して、お金を出してでも欲しいと思っている人がいることに衝撃を受けた」そうです。

その驚きをきっかけに、フリマアプリの活用をスタートされました。

プロフィールの重要性 トラブルを防ぐために

プロフィール欄には、どんな人が売っているのかを伝えるとともに、予め、できることとできないことを明確に伝える必要があります。例えば、

・家庭の事情で発送が遅れる旨

・素人の検品のため、汚れや傷などの見落としがある可能性があること

・梱包にはリサイクル品を使用する旨 など

予め伝えることで、相手に丁寧な印象を与えるだけでなく、売買の際のトラブルを防ぐ効果も得られます。

さっそく、出品してみよう!

出品する際は、以下の手順をふみます。

①出品する商品の検品 ②販売価格の決定、類似品で取引価格を調査 ③写真撮影 ④詳細情報の入力 ⑤発送方法の選択

特に重要なことは、写真撮影と商品情報の入力です。検品をしっかりと行い、小さな傷や汚れを隠さないこと。また、相手に伝わるように撮影し、商品の説明を丁寧に明記する必要があります。その他にも、正確なサイズ・におい(柔軟剤やタバコ・ペットなどのにおい)・老朽化にも注意が必要です。

【写真撮影の注意点】

①何枚も撮影する ②汚れ・傷などは特に何枚も撮影する ③写真と違うことで、トラブルが起こることも ④写真で伝えられないことを記載する ⑤追加で写真を掲載してほしいと言われることも

販売価格を決める際は、価格交渉も念頭に考えます。価格交渉に応じることで、相手が興味をもってくれるきっかけにもなります。購入する側の目線を意識した出品を心がけましょう。

梱包や発送も手軽にできます。「匿名配送」を選択することで、プライバシーが守られ、安全に発送することが可能です。コンビニ等で簡単に手続きができることも、手軽に活用できる理由の一つ。梱包は、自宅にある不用品を活用して行うと費用もかかりませんし、何より環境に負荷をかけません。新聞紙や古着などを活用して、商品を包むなど工夫してみましょう。

意外な売れるモノ

フリマアプリでは、リユースショップでは引き取ってもらえないような商品を含め、意外なモノが売買されています。例えば、着物やレトロな食器、参考書やノートなど。自宅で使わなくなって、眠ったままになっているモノにありがちな品々です。

但し、それは状態がいいものに限ります。年月が経てば品質は確実に落ちていくもの。手放したい!と思ったら、捨てるのではなく早めに譲ることを考えましょう。また、出品できないものもあります。サイトの注意事項をよく確認しておきましょう。

出品中のやり取り、評価

出品中のやり取りは丁寧に行う必要がありそうです。値引き交渉の有無だけでなく、購入していただいたお礼や発送時期の連絡など、不信感につながらない対応を心がけましょう。相手に誠意が伝わることで、その後の評価にもいい影響を与えます。

商品を発送した後、相手が受け取り・評価をした段階で売上金が確定する仕組みとなっています。

トラブルを回避するために

「こんなはずではなかった」を最小限にするために、「プロフィール」や「詳細情報」に品物の情報をできるだけ細かく、写真や文章で伝えることが重要です。それでもトラブルが起きてしまった場合には取引をキャンセルすることも考えましょう。

スムーズに売買できず、結果、受け取りの際に「残念だった評価」がつくと、直近100件の評価が表示されるため、マイナスイメージが公表されてしまうことになってしまいます。1件1件の取引を丁寧に行うことで、トラブルは事前に防ぐことができます。

フリマアプリを楽しむために

「フリマアプリはSNSを介していても、結局は『人』と『人』とのやり取りです。」と古川さんは言います。

フリマアプリのメリットは、「不用品を手放してお金に変えられる」という点が挙げられますが、同時に「自分が譲ったモノを必要とする相手がいて、さらに相手が喜んでくれる精神的な満足感を得られる」ことも、多くの方が楽しむ理由の一つだと思われます。

必要とする人に、見つけてもらいやすい工夫を重ねるなど、「価値」と「価値」との交換を楽しみながら、気持ち良くモノを循環させてみませんか?

片付けられない理由を紐解く

セミナー後半には、片付けられない理由そのものを論理的な説明で、成田さんに紐解いていただきました。モノの手放しが進まない理由、それは「漠然とした不安」からくるものなのだそうです。つまりそれは「敵が分からない状態」にあると言うこと。「想像もつかない量の、あふれかえるモノたち」の正体を少しずつ確認していくことで、その量と中身が把握でき、自ずと不安は解消されていきます。

自分の持ち物を俯瞰してみる

まずは引き出し等の小さな場所から中身を全て出し、自分の持ち物を俯瞰してみましょう。どんな種類のモノをどれだけ抱えているか、認識できます。注意する点は無理をしないこと。自分の限界(体力・根気)を理解した上で向き合ってみましょう。

「持ち続ける労力」を今後も維持できるかどうか、その難しさを理解できたら、モノに対する執着は少しずつ消えていきます。また、一人で抱え込まず誰かに手伝ってもらうことも大切。イライラしながら片付けるのではなく、「こんなモノまで持っていた!」と笑いながら楽しい気持ちで作業しましょう。

捨てなくてもすっきり片付く整理術

今、抱えているモノも、スペースを有効活用すれば、捨てずに使いきれる仕組みを作ることができます。納戸や食品庫(パントリー)の効果的な整理術や、視覚上すっきり片付いて見える収納のコツも教えていただきました。

モノを持ちすぎている家庭にありがちな問題も、必然的に使いきれる収納の仕組みを作ることによって、ストレスなく管理ができるようになります。

片付けにおいて、3Rを活用する意義とは

・リデュース:自分自身を大切にし、寂しさを埋めるような買い物はしない

・リユース:次に必要とする人へ、価値のある状態で譲る

・リサイクル:環境のことを考え、不用品はできるだけ資源として活かす

片付けにおいて3Rとは、「人やモノ・環境を慈しむ気持ちを循環させること」を意味します。

また、片付けを通して暮らしを再構築することは、家族や自分を取り巻く人たちに、何を残し伝えるかを改めて見直すきっかけにもなります。負の遺産や処分しきれない不用品を押し付けるよりも、人やモノ(資源)・環境を慈しむ姿勢そのものを引き継いでいきませんか?

フリマアプリ活用にまつわるQ&A

Q1.フリマアプリで出品する際に、古い着物(一度だけ着用)はクリーニングが必要?

A1.クリーニングする必要はありません。ほとんどの方はクリーニングせずに出品されています。汚れ・傷・シミ・などの箇所をしっかり明記しておけば、クレームになることは避けられると思います。着物を多数出品される予定の場合は、プロフィール欄に予め記載しておくといいかもしれません。

Q2.記名配送のメリットは?

A2.配送料が安く済む、この一点のみです。記名配送しかできない場合の商品は、売れにくい傾向もあります。今は記名配送で出品している方はかなり少なくなっている傾向にあります。

Q3.フリマアプリを利用して個人情報はのっとられないですか?

A3.フリマアプリサイト側がかなり厳重に管理しているので問題ないと思います。匿名配送で出品し続ける限り、購入いただいた取引先にも、こちらの個人情報が洩れることはありません。

3Rを活用したお片付けにまつわるQ&A

セミナー当日に配布したアンケート内に記載の、「3Rを活用したお片付けにまつわる質問」について、成田さんから順次ご回答いただき、動画にて掲載して参ります。詳しくはこちら(暮らし再創作 YouTube)