2026年7月4日(土)東海市立市民活動センターにて、3Rお片付けセミナー「~無駄なく備える!防災グッズの整理収納~」を開催いたしました。6回目となる3Rセミナー。今回のテーマは「防災グッズの整理収納術」「食品ロスを生み出さない、ローリングストックを成功させる収納術」をメインに学びました。

災害に対する備えは非常に重要であるにも関わらず、日常生活の中では出番が少ないため、せっかく用意した備蓄品を廃棄してしまう例も少なくありません。また、モノであふれかえる家は避難ルートの確保ができないだけでなく、積み上げたモノが落ちてきて思わぬケガをする場合もあります。安心安全な住まい創りのために何をすべきか、3Rを活用したメソッドで詳しく教えていただきました。

【講師】RE-CREATE SYSTEM. (リクリエイトシステム) 成田 宮子 さん

*片付けを通して空間を最適に整え、時間と利益を生み出す整理事業“リクリエイトシステム”を立ち上げ、個人宅・スモールオフィスの片付け及び生前整理に取り組んでいる。セミナー等による啓蒙活動でも活躍中。分かりやすく、人に寄り添ったセミナーが好評。

モノであふれかえる家は危険!お片付けで減災効果を上げる

◆避難ルートを確保するために◆

災害が発生した場合、部屋から玄関までの避難ルートを確保しておくことは非常に重要です。出入口に家具を置かないことはもちろんのこと、玄関周りに置きがちな「たくさんの靴」「新聞紙などの資源ごみ」「トイレットペーパーなどの日用品」で場所をふさがないことが大切です。

成田さんによると、玄関にモノがあふれている家庭は、納戸や押し入れなどの収納スペースも散らかっており、死蔵品であふれている場合が多いそうです。玄関だけを片付けるのではなく、納戸や押し入れなどのストックヤードを見直し、整理することからスタートしてみましょう。

◆ストックヤードの見直し◆

家の中には様々な種類の収納スペース(ストックヤード)があります。納戸や押し入れ、階段下収納、床下収納の他にも、食品庫(パントリー)や屋外倉庫があるご家庭もあるでしょう。動線をふさがないためには、これらのストックヤードを活用する必要があります。それぞれの場所を有効に活用しながら、備蓄品を整え、安全な暮らしを創っていきましょう。

どこに保管する?いざという時に取り出せる防災グッズの整理収納

◆一次避難品と二次避難品の違い◆

防災用品は2種類に分けて準備をする必要があります。

  • 【一次避難品】災害発生直後に命を守りながら避難所に移動するための装備となる。そのため短時間の使用を想定し、最低限の品物をできるだけコンパクトにまとめておく。
  • 【二次避難品】ライフラインが復旧するまでの1週間~長期の避難生活を想定して準備しておくもの。自宅または避難所で生活するための物資が必要になる。食品や日用品など備えるモノは多岐に渡るため、自宅避難の場合は各種ストックヤードを活用して、分かりやすく保管する必要がある。

一次避難品の非常持ち出し袋は、すぐに取り出して避難できるように、玄関付近に置くことが望ましいとされています。そしてその場所を確保するためにも整理し片付けておく必要があるのです。

◆備蓄品はどれだけ必要?◆

最低限必要な備蓄品の種類と量が把握できなければ、保管場所をどこにするのか、またどれくらいのスペースが必要なのかを認識することはできません。セミナーでは、家族の年齢や人数・住居スタイルを入力することで、簡単に必要な備品の種類と数のリストアップができるサイトの紹介もありました。必要なモノを確実に揃え、余分なモノを持たないようにさせるために、まずは各家庭の状況に応じた情報をチェックすることが大切です。

◆管理のコツ:ストックヤードに保管◆

住宅がどんな場所に位置しているかによって、保管する場所を考えていく必要があります。例えば、「自宅の土地が低く、床下浸水の可能性が高い場所に位置する場合は、1階ではなく2階にストックする」などの工夫が必要となってくるからです。備蓄品を全て一カ所にまとめることは難しいため、家中のストックヤードに分散させることを前提に考えます。どの場所に何を置いたら取り出しやすいかを決めたら、必ず家族にも伝え、全員が把握できる仕組みを整えていきましょう。備蓄品を確実に活用できるよう、プランニングすることが備蓄管理成功への第一歩と言えます。

期限ぎれを無くしたい!防災食の保管方法とローリングストック

◆ローリングストックとは◆ 普段食べている食品を消費しながらストックすること。蓄える→食べる→補充するを繰り返しながら常に一定量を備蓄する方法のこと

災害時のための食料品の備蓄について、「揃えてみたけれど、気が付いたら賞味期限がきれていた」「なかなか続かない」「必要な量を備えられているか心配だ」など、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。ここからは、ローリングストックを長く確実に続けるための知識や成功する秘訣を詳しく教えていただきました。

また、消費者庁食品ロス削減推進サポーターを務めるNPO法人まち・ネット・みんなの広場からも、食品ロスを生み出さない、正しいローリングストック術についてお伝えしました。

資料:「食品ロスを生み出さない!ローリングストック術」P1 P2

備蓄食品には大きく分けて「非常食:災害時を意識した、専用の備蓄食品」「日常食:災害時だけでなく、日常も食べる備蓄食品」の2種類があります。価格の高い、専用備蓄食品だけでは必要量を揃えることは難しく、日常では活用しにくいのが現状です。いつもの生活の延長線上で無理なく続けるためには「日常食」をメインとし、普段の在庫管理でストックするとともに、「非常食」を組み合わせ、より効果の高い工夫を凝らすことがのぞましいとされています。

この他、備蓄食品購入の工夫として、ショッピングポイントでの景品交換や、冠婚葬祭用カタログギフトを活用した、出費にひびかない入手アイデアもご紹介いただきました。

ローリングストックの効果的な保管方法

◆消費順を把握しておく◆

災害発生時、ライフラインが止まった場合は、①冷蔵庫・冷凍庫の中の食品→②常温の日常食→③非常食と呼ばれる長期保存防災食、の順に食していく必要があります。最低3日、できれば7日分の家族の人数分の食品をストックするために、それぞれの保管場所を分かりやすく管理していくことが大切です。

◆期限切れを無くすコツ◆

納戸や階段下・床下収納などのスペースを使って防災食の管理をする場合、まとめて保管するだけでは確実に食べきることはできません。以下のような、様々な工夫を参考にしてみましょう。

  • カゴに入れて食品の種類や賞味期限ごとに管理する
  • 賞味期限の表記を目立たせるため、油性ペン(黒・赤)・マスキングテープ・ハサミを一緒に置いておく
  • お気に入りの食品は、通販サイトやネットスーパーを活用し、在庫が減ったタイミングで必要量を購入、買い物の労力を減らす。その際、購入数や購入先を記した発注カードを作成しておくと、在庫不足になった時も何も考えずに手配することができる。
  • 床下収納に保管している食品は、種類ごとに袋に入れ、取り出しやすくする。
  • 賞味期限が近い食品は、日常的に使うエリアに移動させておく。

ポイントは「直観的に分かりやすい仕組みづくり」です。ちょっとしたコツで無駄のないローリングストックを継続することができます。

災害時のトイレ事情に備える

災害時に問題となるのは「食」だけではありません。「トイレ対策」も重要となってきます。非常用トイレを準備するにあたって大切なことは、家族のだれもが把握しやすいように「トイレの近くにグルーピング保管」することです。災害用トイレとして販売されている凝固剤は使用期限もあります。今回のセミナーでは家庭にあるものを活用した知識を、皆で共有することができました。

家族の成長とともに考える、防災用品の見直し

◆見直しのタイミングを予め決めておく◆

「食品をローリングストックで管理すること」と同じように、「災害時に必要な生活用品や服などを管理する」必要もあります。見直しのタイミングを予め決めておけば、無理なく確実な備えができます。成田さんには2つの案を提案いただきました。

  • 大型連休を利用して、家族全員で取り組む
  • 日々こなす家事とは別に、年に一度取り組むような家事タスクとして向き合う

注意が必要なのは成長期のお子さんがいる世帯です。服のサイズアウトや離乳食・アレルギー対応等、見直しをしていなければ災害時にすぐに困ることになってしまいます。家族全員で把握するためにも、年に2回は見直しを行いましょう。

見直しの結果、サイズアウトした子ども服が出た場合は、ぜひ市民活動センターのおさがりクローゼットに寄付してください。離乳食や乳幼児用のミルク(賞味期限3か月前までのものに限る)もフードドライブとして寄付することが可能です。

◆備蓄品キャンプでシミュレーション◆

キャンプを体験して備蓄品に慣れることも効果的です。非常時のシミュレーションも兼ねて電気やガスを使わなずに食料を確保するなど、防災に活かせる点がたくさんあります。

イベント的に、家族や友人と缶詰を持ち寄ってパーティーをするなど、楽しみながら備蓄食品を味わってみませんか?自分たちの口に合う食べ物かどうかも把握できます。

経験することで、非常時に何が必要かを確認してみましょう。

3Rを活用するメリット

◆3Rのリデュースは暮らしやすさと安全に直結する◆

モノを手放すことに拒否感がある家庭では、ストックヤードもモノがあふれ、死蔵状態になっている場合がほとんどです。ストックヤードを「生きた備蓄の場」に変えていくためには、リデュースを意識して適切な量を持つことが何よりも重要。自宅を避難場所として災害時にきちんと機能させるために、まずは死蔵品を減らすことを目標にしましょう。

◆循環できる備蓄スペースで分散管理◆

限られた広さの中で分散管理しながら、循環できる備蓄スペースを維持していきましょう。「食器棚」「パントリー」「床下収納」「玄関」「屋外倉庫」「納戸」「押し入れ」。それぞれの家庭にあった状況で、どのスペースを活かすかを考えます。場所を決めたら、まずは全て空っぽにして中身を分別します。手を加えることで「脱・死蔵化」させ、崩れにくい管理収納の基礎を作っていきましょう。

◆さいごに◆

防災対策でもっとも重要なことは「必要なモノだけを適切な量で管理すること」。把握できる暮らしで、日常と非日常の安心を創っていきましょう。

3Rを活用したお片付けにまつわるQ&A

Q1:賃貸でDIYしにくいため、ストックヤードに棚を作ることができない

→賃貸ではDIYできないことがほとんどです。天井と床を突っ張り式で固定する棚を活用するのも一つのアイデア。ただし収納用品を購入する前に、まずはモノを減らしてから検討してみましょう。

Q2:「食品を入れた防災バッグを玄関に置く」とよく聞くが、下駄箱に入れるということ?また、日差しの強い南向きの玄関に食品を置くことも抵抗がある。

一次避難品を入れたバッグに食料はほんの少ししか入れることはできませんが、置き場所に抵抗がある場合は下駄箱と限定せず、玄関付近や勝手口に置いてもいいかと思います。いざという時の出入口付近なら、すぐに持ち出しが可能です。また、備蓄品は温度変化の少ない場所を選んで置くことをおすすめします。

Q3:忙しすぎて整理する時間が作れない

仕事や家事・育児など、忙しい毎日のスケジュールの中でモノと向き合う時間が取れないのは、そもそも片付け自体を「+α」の感覚で捉えていることが原因かと思われます。モノを管理・整理して住環境を整えることそのものを、日々のルーティンに加えることからスタートしましょう。いきなりたくさんのことをする必要はありません。短時間(月に一度、週に一度)でもいいので、生活から抜け落ちている「管理する時間」を組み込んでいきましょう。